3期連続赤字会社への提言|キャッシュフロー経営実践講座

3期連続赤字会社への提言|キャッシュフロー経営実践講座

3期連続赤字会社への提言

3期連続赤字会社への提言

ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。


1週間ほど前、SLで有名な大井川鉄道に行ってきました。

土曜日だったこともあり、大勢の観光客で賑わっていましたが、この大井川鉄道、会社としては、2012年3月期決算から3期連続の赤字に苦しんでいます。


大井川鉄道の始発駅は東海道本線の金谷駅。

東京からだと静岡駅で新幹線から乗り換えて約2時間かかるため、多くのお客さんはバスで途中駅に向かい、そこから列車に乗り込みます。

東京から日帰りで遊びに行く場合はギリギリという感じでしょうか。


つまり、位置的にはけっして有利な場所にはありません。

けれども、SL列車を走らせることで観光客を呼び込むビジネスモデルで頑張っていました。

しかし、東日本大震災の影響で観光需要が落ち込んだことや高速バスの規制が強化されて、運転手さんが1名で走行できる距離が1日に500kmと制限されたために、バスの観光ツアーから、SL乗車体験が外されることが増えたのが影響している模様です。


このように

1度成功したビジネスモデルが外部環境の変化によって上手くいかなくなる

というのは、他の会社でもよくあることです。


では、どうすれば良いのでしょうか?

今回改めて大井川鉄道に乗車してみると、乗り鉄の目から見て、「もっとこうすれば良いのに・・・」と思うことがいくつかありました。

そして、これらのことを少し掘り下げてみると、大井川鉄道だけでなく、他の一般の会社でも応用できる点がいくつかあることに気がつきました。

主力商品に頼りすぎない

主力商品の落とし穴

大井川鉄道では収入の4割をSLが稼いでいます。私が行った日も、SL列車はすべて予約が満席でした。


しかし、一つの主力商品に頼り過ぎると、その人気に陰りが見えた時に会社の経営は一気に傾きます


今では大井川鉄道だけでなく、全国でもいくつかSLが走っています。

中にはSLは古いままだけれど、客車は最新鋭のものを使っているところもあります。


もちろん、昔ながらの古い客車が懐かしいという人もおられます。

一方、私のように「どうせ乗るなら快適で乗り心地の良いものがいい」と考えている人もたくさんいます。

そのような人はより新しいものを選択し、わざわざ古いものを選びません。


これを一般の会社に置き換えれば、

売れているあなたの会社の主力商品は常にライバル会社に研究されている

ということです。


そして、そのライバル会社があなたの会社より資本力もあり、販売力も強ければ、お客さんはあなたの会社の商品を二度と買ってくれない恐れもあります。


売れている主力商品があるというのは素晴らしいことです。

しかし、その主力商品も常に磨き続けなければあっという間に輝きを失う危険性があるのです。

経営資源をフルに活用する

使える経営資源はすべて使う

今回大井川鉄道で私が乗ったのは、元南海電車のズームカーと呼ばれる電車。

子供の頃私は南海電車沿線に住んでいたので、とても懐かしい電車でした。


実は大井川鉄道ではSL以外に、昔他の私鉄で活躍していた電車が走っています。

でも、私のような鉄道ファンは別にすれば、多くの人にとって、昭和33年に製造された電車はただのオンボロ電車に過ぎないのではないでしょうか。


SLに乗車すればおそらくSLに関する説明がアナウンスされているかと思います。

しかし、今回私が乗車した普通の電車ではその車両に関するアナウンスは何もありませんでした。


では、もし車内で

「この電車は昔、世界遺産で知られる高野山に向かって走っていた電車です」

「昭和33年に製造されていた電車で、今年57歳になります」

とう説明があったら、どうでしょうか。


中には

「高野山に行っていた電車なら何かご利益がありそう!」

「自分が生まれる前から走っていた電車なんだ!!」

と、共感を覚える人が何人かいるかもしれません。


多くの会社では、自社の経営資源をフルに活用していません。


もしかすると、会社の人にとっては

「それって当たり前じゃん」

「そんなことって、人は興味を持つの?」

と思われるかもしれません。


しかし、人の価値観は様々

何がお客さんにとって魅力になるかは会社が考えていることと微妙に違うことがあります。

実際、さほどSL好きでもない私は、今回懐かしい元南海電車の車両に乗車できたことが最大の収穫でした。

魅力を徹底して伝える

魅力は伝えてこそ魅力になる

今回始発駅から乗車する際、私は駅に置いてあった「大井川鉄道沿線散策ガイド」をもらいました。

そこには、とっておきのポイントとして、沿線の見どころや観光スポットが写真と絵を使って分かりやすく説明されていました。

それを見ると、沿線には途中に桜のトンネルあり、SLが見える露天風呂あり、スリル満点の吊り橋あり、と途中下車したくなるようなところもいくつかありました。


しかし、今回私が乗ったのがSL列車ではなく普通電車だったためか、沿線に関する観光案内は一度もありませんでした

このため、桜の咲いていない桜のトンネルはただの並木道に過ぎないし、そもそも「あそこは春になったら桜が咲いてきれいなんだ」と、気づく人はほとんどいません。


つまり、せっかくのとっておきのポイントも多くの人にとっては、まさに宝の持ち腐れなのです。


会社側からすれば「ちゃんと『沿線散策ガイド』を作ってるでしょ!」と主張するかもしれません。

しかし、私が見ている限り「沿線散策ガイド」を見ながら車窓を楽しんでいる人はほとんどいませんでした。

これでは、せっかくの魅力が伝わっていません


また、もしかすると、「普通電車はワンマン運転なので、観光案内などしている余裕はない!」と主張されるかもしれません。

たしかに、その日は車内もたいへん混んでおり、運転手さんが無人駅に着くたびに車掌の役割も担うので、かなり忙しそうでした。

そして、何より運転手さんの一番の役割は安全運行。観光案内で気が散ってはいけません。


しかし、伝える方法で言えば音声テープを使うやり方だってあります。

また、社員がいなければ、沿線のボランティアの協力を得ることも一案です。


いずれにせよ、

「春になったらもう一度乗ってみたい」

「今度は露天風呂に入ってみよう」

「ちょっと怖そうだけど、次はあの吊り橋を渡ってみよう」

と、乗客が思ってくれなければ、リピート客にはなりません。


今回行きの電車は都心の通勤電車並みにぎゅうぎゅう詰めでした。

片道1時間余り、「混んでいて座れなかった」という印象だけが残ってしまうと、「まぁ、一回来ればいいかなぁ」と感じた人が多かったように思います。


せっかく自社の商品を買ってくれた人、わざわざ来店してくれた人に対して、自社の魅力をどう伝えていくか。


「〇〇があるからいいや」

「昔から××でやってるから大丈夫でしょう」

という考えではその魅力は絶対に伝わりません。

新しい販路開拓への布石を打つ

始発駅で切符を買おうと並んでいた時のこと。

どうも外国人観光客らしき人が日本語が分からず、駅員さんも対応に困っている様子でした。


最近の観光地では英語に加えて、中国語や韓国語などの表記やパンフレットがあるなど、国際化が進んでいます。

しかし、大井川鉄道ではこの点まだまだ後手に回っているように感じました。


既存の市場で売れなくなった時には、新しい市場を開拓していく必要があります。

それが海外市場へ進出するケースもあれば、法人マーケットから個人マーケットにシフトする場合もあるかと思います。

この場合、海外市場であれば語学力の問題がつきまといますし、法人向けと個人向けでは商売のやり方自体も異なります。


このため、「今月から我が社は海外市場を開拓する!」と決めても
すぐに成果は出ません。

やはり、それなりの準備と時間が必要です。


将来への布石は絶対に必要ではあるが、効果がすぐに出るものではありません。

このため、ついつい後回しにしがちです。


しかし、後からじわじわ効いてくるのが布石

「すべての布石は新しい販路に通ず」ですが、「新しい販路は1日では開拓できず」でもあります。

リスク管理にも目を配る

実は私が大井川鉄道に乗車する2日前、トンネル内で側壁のブロックが落下し、走行中だった普通電車が接触するという事故がありました。

幸いけが人はいなかった模様ですが、ちょっと怖いですね。


会社で赤字が続いていると、どうしても社内では士気が上がりません

ましてや、赤字幅を減らすために経費、特に人件費を削るとなると、社員のやる気にも影響してきます。

そして、そのちょっとした気のゆるみが日々の仕事にも影響して、大きな事故や事件につながる恐れもあります。


経営状態が厳しいと、ついつい

「どうやったら売上が上がるのか」

「利益を増やすには何をすればいいのか」

に関心が行きがちです。


しかし、そういう時こそ、原点に立ち返って基本を大事にすることを忘れてはいけません。


せっかく、営業に力を入れても、会社の信頼を失ってしまえば、元の木阿弥

経営者は経営状態が厳しい時こそ、リスク管理にも目を配りましょう。

やれることはすべてやる

以上、大井川鉄道に乗って感じたことを中心に業務改善のポイントを書いてみました。

一乗客の立場から見た点なので、既に会社として取組んでおられることがあるかもしれません。

ただ、地方のローカル鉄道だけが直面している問題というよりは、他の中小企業でも「ウチでも似たようなことがあるかも?」と感じるポイントが一つぐらいはあるのではないでしょうか。


そして、会社を良くするためにはやれることはすべてやるという姿勢が何よりも大事です。

小さな積み重ねは必ずいつか大きな成果に結びつきます。


今後の会社経営に参考になればたいへん嬉しく思います。


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Tag: 3期連続赤字 業務改善 リスク管理 経営資源 販路開拓

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