負債40億円から経営再建した経営者が乗り越えた苦渋の決断
負債40億円から経営再建した経営者が乗り越えた苦渋の決断
いくら立派な経営理念を掲げても、資金繰りが回らず会社が立ち行かなくなると、きれいごとを言っていられません。その時、経営者は多くの批判や非難の目にさらされますが、そこを耐え抜く覚悟があるかどうかが問われます。
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
負債40億円で、債務超過25億円。
父親の逝去に伴い、居酒屋店を経営する湯澤社長が会社を引き継いだ時は、会社はまさに倒産寸前の状況でした。
ユサワフードシステムの湯澤社長のお話は以前NHKの番組でも取り上げていたので、おおよそのストーリーは知っていましたが、今回直接お話をお伺いする機会があり、改めて経営再建に至る過程でのすさまじさを感じました。
印象に残ったエピソードの一つが社員への対応。
料理長など複数の社員がお店の売上代金をちょろまかしているというアルバイト社員からの通報を受け、湯澤社長はお店に乗り込んでいきます。
アルバイト社員が見つけた動かぬ証拠を基に社長は社員たちを問い詰めますが、相手はしらを切るばかり。
しかし、さらに問いただすと、「そこまで疑うんなら、会社を辞めます!」と社員たちはあくまで強気の姿勢です。
よくある話であれば、ここで不正を犯した社員をバッサリ切るということになりますが、社長の頭に浮かんだのは会社の資金繰りのこと。
ここで社員たちが辞めると、お店を開けない
↓
お店を開けないと、売上が上がらない
↓
売上が上がらないと、来週の資金繰りがショートする
そして、社長が次に社員に言ったことは「疑って悪かった・・・」
つまり、社員の不正に目を瞑り、不問に付したのです。
結果的に社員はそのまま会社に残り、この顛末にあきれたアルバイト社員の方が「こんな会社ではやってられない」と、会社を去っていったそうです。
ご本人も「我ながら情けない社長で」と言っておられましたが、本当にギリギリのところで資金繰りを回している状況では、やむにやまれぬ苦渋の決断だったのではないかと思います。
その後、苦労に苦労を重ねて、業績も回復し、借金も返済し、債務超過も解消されるようになると、社員の勤務態度も大きく変わってきます。
お店の営業時間にも関わらず、勝手にお店を閉めて、酒盛りをやっていたような不良社員たちの中にも改心して、まじめに働く人たちが増えてきました。
しかし、やはり半分ぐらいの社員たちは自ら辞めっていったそうです。
そして、辞める人たちに理由を聞いてみると、「自分は忙しい店は合わないから」
会社として事業を続けていくためには、社員の働きは絶対に欠かせません。
けれども、資金繰りが厳しい状況にあると、本来であれば辞めてもらいためい社員にも頭を下げて、働いてもらう必要が出てきます。
一方、業績が良くなり、会社の品質が上がってくると、居心地の悪くなった社員は自ら会社を辞めていく状況が生まれてきます。
普通「悪貨は良貨を駆逐する」ですが、会社が目指すのは「良貨は悪貨を駆逐する」。
しかし、この状況を作り出すには、一筋縄ではいきません。
いくら立派な経営理念を掲げても、資金繰りが回らず会社が立ち行かなくなると、きれいごとを言っていられない状況に陥ります。
その時、経営者は多くの批判や非難の目にさらされます。そこを耐え抜く覚悟があるかどうか。
湯澤社長の奮闘を陰で支えてこられた奥様から「会社を子供に継がせるのだけは反対」というご意見が出たこともあり、会社としては親族への事業承継は断念された模様です。
経営者とはどうあるべきか?
ギリギリのところで、自分ならどんな決断ができるのか?
長期間に渡ってストレスの続く状況を耐えていけるのか?
実体験に基づいた生々しいお話はいろいろと深く考えさせられる内容でした。
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