老舗企業の強さの秘密とは?
老舗企業の強さの秘密とは?
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
老舗企業の経営を長年研究しておられる大学の先生のお話を聞く機会がありました。
老舗企業の強さはどこにあるのか、をいろいろと調査され、分析された結果はたいへん興味深いものでした。
経営理念を積極的に活用している
ブランドに価値を置いている
仕入先とは情報交換を密に行っている
など、老舗企業の強みは多岐に渡るのですが、財務面の特徴として、
事業推進するにあたって、大きな借金をして投資することはしない
というのが印象に残りました。
老舗企業といっても中堅・中小企業の場合、オーナー一族として支配権を維持したい意向もあるので、積極的に増資をすることはまれです。
このため、事業を拡大するにあたって、お金が足りない時は銀行からの借入金が中心となります。
業歴も長く、業況も順調に推移している会社であれば、銀行から「ぜひウチから借りて下さい!」と積極的にセールスにくる可能性が大きいです。
けれども、長年事業を続けている老舗企業の場合、
事業を進めるにあたって、大きな借金を背負ってまではやらない
ことが多いという調査結果だったのです。
銀行借入を上手に活用すれば、少ない自己資金で多くの投資資金を使えます。
いわゆるレバレッジが効いて、事業推進のスピードが速まります。
もちろん、お金を投資して始めた事業が順調に推移すれば、借りたお金を返せるし、みんながハッピーです。
しかし、事業が当初の計画通りに進まない時。
投資した事業からの収益では借入金を返済できないことだってあります。
そんな時は、他の事業から上がっている収益で返済する。
それでも、足りない場合は、資産を換金してお金を返すか、時には返済額を一時的にストップしてもらう事態に陥ります。
これは私の憶測ですが、老舗企業は長年の経験から
- いくら事前にしっかり準備しても、事業がすべて上手くいくとは限らないこと
- 銀行はお金を貸す時にはニコニコやさしいが、お金を返すことに関しては厳しい側面を持っていること
- 借入して事業を進めることはスピードが上がるメリットがある一方、歯車が逆に回りだした時に、経営の足かせになるデメリットがあること
を知っているだと思います。
それゆえ、老舗企業は財務的には保守的な会社が多いのではないでしょうか。
今は金利も非常に低いので、借入金の金利負担もそれほどは気になりません。
けれども、50年、100年単位でみれば、借入金の多い会社は、金利負担の金額を無視できません。
銀行からの借入を積極的に活用して、事業を積極的、かつスピーディーに伸ばしていくのも一つの経営判断です。
現にソフトバンクグループのように、多額の借入金を積極的に活用することで、大きく事業展開している会社も数多くあります。
一方で、借入金は必要最小限に留め、大きな怪我を負わない程度に少しずつ歩みを進め、しぶとく、長く生き残っている会社も日本にはたくさんあります。
いずれにせよ、選択するのはあくまで経営者です。
たとえ、メインバンクが「御社ならいくらでも貸しますよ」と言ってきても、「いえ、今回は3,000万円借入できたら充分です」と、経営者が自分の意思でハッキリ言えるかどうか。
大学教授のお話を聞いて感じたのは
老舗企業は自らのことを一番よく分かっているのが強み
ということ。
売上高が大きく増えることだけが会社の成長ではなく、資産が2倍、3倍と膨らんでいくことが会社の成長でもありません。
自社の強みを理解し、その強みを伸ばし続けること。
会社一つひとつに、独自の成長の定義があってよいと私は感じています。
★長期存続している会社の強みは「らしさ」であると、先生も強調されていました。「らしさ」を磨くには「コアコンセプト・マーケティング」も是非ご活用下さい。
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