損益計算書と資金繰り表と貸借対照表は三位一体
損益計算書と資金繰り表と貸借対照表は三位一体
単に数字作りの業績見込みは意味がないし、その数字は絶対に達成できません。損益計算書(P/L)→資金繰り表→貸借対照表(B/S)をセットにして数字の整合性をチェックしましょう。
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
今月はあるプロジェクトに関連して事業計画の数字を作っていました。
エクセルを使って5年分の数字を自分でシミュレーションしていた中で、改めて実感したことがあります。
損益計算書ベースで事業計画を作ることの問題点とは
事業計画と言えば、まず
- いくら売上を上げるのか
- どのくらいの利益が出るのか
という損益計算書(P/L)が真っ先に頭に浮かびます。
今期の売上高は5億円で、税引前利益で3,000万円になるという時、来期の計画は数字上はいかようにも作れます。
売上高は一気に2倍の10億円にすることもできれば、2割アップの6億円することだって計算上は可能です。
でも、現実問題としては売上を2倍にするには、今の社員数で対応できるのかといった問題にも直面しますし、仮に2割アップだったとしても、既存の設備投資の範囲内で生産可能なのかという課題も出てきます。
また、売上高を増やすには手元のお金では足りないので、銀行からお金を借りることも想定される事項です。
このため、いろいろな制約条件を一つひとつクリアしていくことを考慮してみると、
2倍の売上高はおろか、2割アップの売上高だって達成するのはけっして簡単ではない
ということが分かってきます。
損益計算書の数字を資金繰り表と貸借対照表で検証する
これを肌感覚で分かるためには単に損益計算書だけで数字を積み上げてはダメです。
損益計算書で売上高や経費、利益の見込みを出したら、次に
資金繰り表で実際にその計画の数字で資金繰りが回ることを確認する
資金繰りが回ることが分かったら、
貸借対照表(B/S)で資産と負債のバランスが取れていることを確認する
というプロセスが必要になってきます。
つまり、
P/L→資金繰り表→B/S
をセットにして数字の整合性をチェックすることが大事です。
その際は細かな勘定科目は無視してもOK、まずは全体の数字が異常値にならないことに注意しましょう。
イメージしている利益を確保しようとすると、途中でお金が足りなくなったり、やたらと借入金が膨らんでしまうことがあります。
その時は損益計算書ベースの数字をもう一度見直す必要があります。
また、利益が膨らんだのはいいが、納める税金も増えるので、結果的には途中でお金が足りなくなるといったことは、簡単な形でも資金繰り表を作らないと、勘だけではなかなか分かりません。
でも、
P/L→資金繰り表→B/S
を繰り返す中で、数字をいじくっていると、その内だんだんと収まりの良い数字が感覚的に分かってきます。
ポイントとしては仮に強気の販売計画であっても、弱気の販売計画であっても、資金繰り表に関して常に堅めに見積もること。
せっかく売上高を増やしたとしても、その売掛金回収が1ヵ月遅くなると、資金繰りに支障をきたすことがあります。
一方で、あまり売上高の伸びを抑え目にすると、必要な固定費部分をカバーできない、銀行から借りたお金が期限までに返せないということが起こります。
このあたりの微妙なバランス感覚はP/Lだけでは分かりづらいもの。
資金繰り表やB/Sを使って数字を検証してこそ、初めてつかめるのです。
資金繰り表や事業計画に関する疑問はすぐに解消しましょう
今の時期、4月から始まる新年度に向けて、事業計画の数字を作っている会社も多いかと思います。
もし、売上高や利益の計画だけ作って、資金繰り表や予想バランスシートを作っていない、もしくは、適当に作っているということであれば、ぜひとも、
P/L→資金繰り表→B/S
という形で連携させて数字を検証しましょう。
単に数字作りだけの業績見込みは意味がないし、その見込の数字は絶対に達成できません。
なお、資金繰り表や事業計画について個別にご質問やご相談がある場合は、「こちら」からお問い合わせいただければ幸いです。
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