銀行は持ち物検査が仕事です
銀行は持ち物検査が仕事です
資産は会社の持ち物リスト。銀行員は決算書を見た時、流動比率がどうか、売掛金が膨らんでいないか、どのくらいの不動産を所有しているかといったことも確認しますが、気になるのは貸付金や仮払金など、「これはな~に?」という項目です。
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
あなたは中学生や高校生の時、カバンの持ち物検査を受けられたご経験があるでしょうか。
教室に入るなり、「さあ、カバンを開けて!」と担任の先生や規律にうるさい教頭先生が校則で禁止されてるものが、カバンの中に入っていないかをチェックします。
マンガやタバコ、化粧品などが運悪く見つかったりすると、現物をとりあげられて、厳重注意!
私は中学、高校とも公立で幸い比較的自由な校風だったため、制服もなし。
気分の悪いカバン検査を一度も受けたことがありませんでした。
しかし、最初の就職先である銀行は規則やルールにやたらと厳しい職場。
お客様から大切なお金を預かるという信頼性を確保する意味もあって、時々、持ち物検査がありました。
日中、取引先から帰ってくると、通用口のところに副支店長が立っていて、「ちょっとカバンの中見せて」と集金用カバンをチェック。
取引先から預かった現金や小切手をきちんと集金帳に記録しているかどうかを確認されます。
また、朝の出社時にいきなり私用のカバンを開けさせられたことも何回かありました。
取引先の決算書や資金繰り表など、いわゆる機密情報を自宅に持ち帰っていないかをチェックするのです。
いずれにせよ、持ち物の中にちょっとでも変なものがあると、「これはな~に?」と相手の関心を呼ぶことになります。
さて、「純資産」、「借入金」の次にどこに注目するかですが、私の場合、どうしても貸借対照表の左側「資産」に目がいきます。
資産のところには
現金・預金、売掛金、商品、土地、建物、投資有価証券・・・
といった項目が並びます。
要は資産は会社の持ち物リストです。
もちろん、流動比率がどうか、売掛金が膨らんでいないか、どのくらいの不動産を所有しているかといったことも確認します。
しかし、決算書をぱっと見た時に気になるのは、やはり、「これはな~に?」という項目です。
預金、商品、土地などはそれが何であるかは容易に想像できます。
一方、
- 仮払金
- 貸付金
- 繰延資産
といった項目はそれだけではすぐに内容が分かりません。
例えば、銀行であれば資産の部に貸付金があるのは理解できます。
しかし、一般事業会社の場合は貸付するのが本業ではありません。
そこで、この貸付金は
・社長への貸付金なのか
・関係会社への貸付金なのか
・なぜ貸しているのか
というのが気になってきます。
もちろん、これらの項目も会社の規模と比較して金額が小さければ、ある程度無視できます。
しかし、時々あるのが、仮払金や貸付金がかなり膨らんで不良資産になっているというケースです。
つまり、会社の負の遺産が説明のつきにくい資産の中に集約されていることもあるという訳です。
通常のビジネスの中で生じる仮払金や貸付金もあるかと思います。
しかし、お金の出し手である銀行は担任の先生や副支店長のように持ち物検査をする立場にあります。
検査を受けても、「この持ち物は全く問題ありません!」と言い切れるかどうか。
一瞬見ただけで何か分からないものはきちんと相手に説明し、納得してもらえないと、
持ち物から取り上げられる
↓
資産から除いて評価される
↓
場合によっては実質債務超過として判断される
こともあるので、要注意。
いつ持ち物検査があっても常に堂々とした態度で検査に臨める状態でありたいですね。
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