事業計画は意思を持って作る
事業計画は意思を持って作る
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
大量生産すると価格が安くなる。
なんとなく常識として知っていることです。
経営学においても、単位当たりの生産コストが、ある減少率で減少していくパターンを学習曲線と呼んで研究されています。
つまり、累積生産台数が増えるにつれて価格が下がるという訳です。
しかし、昨日お話をお伺いした東京大学大学院の高橋伸夫教授は、「累積生産台数が増えるにつれて価格が下がるのは本当か?」と疑問を呈しておられました。
高橋先生がある工場を訪ねた時、あまりに暗くてびっくりされたそうです。
先生が工場見学をされた際、その工場はたまたま稼働していませんでした。
係りの人に聞くと「製造技術を忘れない程度に時々稼働している」とのお話だったのです。
この工場の場合でも、稼働すれば、当然のことながら累積生産台数は増えていきます。
しかし、技術を忘れない程度に時々稼働している状態では、単位当たりの生産コストが下がるとは思えません。
一般には、大量生産すると価格が安くなるということを説明する際、
・縦軸に製造コスト
・横軸に累積生産量
として、累積生産量が増えるにつれて製造コストが下がるという右肩下がりのグラフがよく使われます。
多くの場合はそれが当てはまります。
けれども、先の工場のように、実際には累積生産量が増えても製造コストが下がらない事例があるのです。
この違いは何か?
高橋先生によれば、
価格を下げようとする意思があるかどうか
です。
すなわち、大量生産→低価格となるのはそこに低価格を実現するという意思が加わって初めて実現するという訳です。
実は事業計画においても似たようなことがあります。
単に数字を並べただけでの事業計画では目標とする売上や利益を達成するのは困難です。
そこに、「何が何でもこの数字を達成するぞ!」という強い意思がない限り、事業計画を作っても時間の無駄になってしまいます。
事業計画は意思を持って作る。
魂のない仏はただのお飾りです。
ところで、T型フォードで自動車の一時代を築いたフォード社。
その前身にあたるN型を1906年に発表した時、完成が間に合わずに、エンジンを搭載しないまま、500ドルの正札をつけて自動車ショーに出しました。
すると、その低価格はたちまち話題となり、フォード社はその金額以下に製造コストを下げるため、車体メーカーと交渉を始めたと言われています。
マーケティングで有名なレビット氏によると、「フォードの大量生産は、低価格の原因ではなく結果」「何百万台も車が売れると結論したので、組立ラインを発明した」
まず、はじめに「意思」ありきですね。
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