後回しを回避して、リスクを放置しない
後回しを回避して、リスクを放置しない
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
車両の火災や脱線事故などトラブルが相次ぐJR北海道。
今度は97ヵ所にもおよぶレールの異常が放置されていたことが発覚しました。
社長の会見では「後回しで失念していた」ということですが、鉄道会社にとって一番大切なのは安全。
その基本を脅かす事態だけに徹底的な原因追求と対策の実施が求められます。
この点、銀行は、後回しで発生するトラブルを回避するために、いろいろと対策を立てています。
例えば、たまに取引先から「今日来る時に現金を10万円届けてほしい」という依頼があります。
本来であれば、小切手もしくは通帳+払戻請求書が必要です。
けれども、親しい取引先などに対しては、便宜的に払戻請求書なしでお金を引き出すということをやります。
この場合、
担当者が仮の伝票を作る
↓
上司の証印をもらう
↓
お金を引き出す
↓
お金と引換えに払戻請求書を取引先から回収する
という手順を踏みます。
もちろん、これは異例の対応。
払戻請求書や印鑑照合なしでお金を引き出してしまうので、不正が起こる危険性があります。
このため、このような対応をする時には、必ず未完扱い控帳というファイルに記録を残していました。
そして、上司が定期的に未完扱い控帳をチェック。
1週間以内に未完事項が補完されていないと、「これどうなってるんだ!」というトレースが入ります。
また、あの半沢直樹も恐れた金融庁検査で支店に臨店検査が入った時には、長期にわたって未補完の事項がないかをチェックされるのです。
リスク対応について大事なのは発見したリスクを放置しないこと。
銀行の場合は、上司のチェック、社内のチェックに加えて、外部の金融庁のチェックが入るため、リスクを放置したままの状態でいるのは比較的難しいと言えます。
一方で、中小企業の場合、人数にも限りがあるので、どうしても後回しで発生するトラブルがより起きやすいのではないでしょうか。
経営資源に限りがある場合、優先順位をつけて対応しなければなりません。
このため、後回しが発生するのはやむを得ないところですが、やはり、大事なことを後回しにするのは回避することがポイントです。
ところで、JR北海道。
今回の一連のトラブルは業績にも影響を及ぼすのは必至です。
鉄道の「おもてなし」は安全という土台があって初めて成り立つもの。
観光資源が豊富な北海道を支えるインフラとして早急な体質改善を強く望みます。
★下記のフォームにお名前とメールアドレスをご登録いただければ、最新発行分より「超キャッシュフロー経営通信」【UCF】をお送りさせていただきます。ぜひご登録下さい。