耐用年数の長い車両が先に引退する要因
耐用年数の長い車両が先に引退する要因
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
箱根と言えば小田急のロマンスカー。
中でも運転席が2階にある車両は大人気。先頭の展望席はすぐに売り切れてしまいます。
そんな人気のロマンスカーの中で10000形と呼ばれる電車がこの春に引退します。
マニアックな話で恐縮ですが、このニュースを聞いた時、私は「あれっ、なぜだろう?」と思いました。
普通、電車が引退する場合、耐用年数から考えると、古いものから順番に廃車になります。
実は、ロマンスカーの中でも同じ展望席付きの電車で7000形があります。
製造年月からすると、7000形→10000形の順番なので、老朽化で引退するなら、まずは7000形の方が先のはず・・・。
この謎はしばらくしてから解けました。
10000形は当時流行していたハイデッカー車と呼ばれる車両。
床を高くして、車内からの眺望を重視した構造になっています。
しかし、近年バリアフリーが普及すると、段差があるため、高床式構造がかえって障害になってしまったのです。
これを改造しようとすると、多額の費用がかかります。
このため、小田急では高床式の10000形を先に引退させ、より旧型の7000形はそのまま運用することにした模様です。
当時は最新式だった自慢の眺望がかえって引退を早める要因になったというなんとも皮肉な結果になってしまいました。
昨日参加したセミナーでも講師の先生がおっしゃっていたのですが、現代は複雑系の時代です。
去年までは良かったものが、今年は急に売れなくなったり、過去の成功体験が今ではまったく通用しなくなったりします。
また、世界の片隅で起こったことが思わぬ形で自社の業況に影響することも・・・。
情報に対する感度を高くし、柔軟に思考して、果敢に行動することが求められています。
実は小田急でも10000形の次に展望席付きでないロマンスカーを出したのですが、人気は今一つ。
このため、その次のロマンスカーでは再び展望席付きを復活させました。
特徴を保持しつつ、事業を続けていくというのは、一筋縄ではいきませんね。
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