信用保証協会付き融資を巡る温度差
信用保証協会付き融資を巡る温度差
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
「これだと断られても仕方ないですね」
先日、資金繰りの件で、ご相談があった時のこと。
メインの某信用金庫から信用保証協会付きの借入を勧められて申込んだところ断られた経営者。
新規事業を始めるために「そろそろ借入をしたいが、次は大丈夫?」と心配になって弊社に来られました。
早速資料を拝見すると、
- 前々期の決算書をもとに融資を申込まれた
- 前々期の決算書はちょっと数字的に悪かった
ということが分かりました。
そこで、その経営者に申し上げたのが冒頭の言葉です。
タイミング的にはちょうど前期の決算を締める時期だったので、本来であれば、前期の決算書を作成→融資の申込という流れになります。
しかし、信用金庫の勧められるまま融資を申込み、審査が通らなかったのです。
私のいた銀行では、一度融資を断った会社に対して半年間は融資を実行できないという暗黙のルールがありました。
おそらく信用保証協会でも同じようなルールがあります。
結果的に融資を申込むタイミングを間違えたために、その会社は一定期間、信用保証協会付きの借入ができなくなってしまったのです。
では、なぜ信用金庫の担当者はその会社に融資の申込を勧めたのでしょうか。
これはあくまで私の推論ですが、信用保証協会付きの融資を伸ばすという目標があったということが、その理由の一つです。
金融機関にとって、取引先が借入金を返済できなくなった時、取引先に代わって借入金を弁済してくれる信用保証協会付きの融資はとても魅力的です。
このため、各金融機関とも
信用保証協会の保証枠が空いている先にはまず信用保証協会付きの融資を勧める
ケースが大半です。
そして、この場合、最終的には貸出金が返済されるという安心感があるため、金融機関の審査が甘くなる傾向があります。
前回、銀行員は資金繰りのプロではないという理由のヒントとして、「なぜ不良債権が発生するのか?」ということを上げました。
今回の事例は不良債権が発生した訳ではありません。
しかし、どこまで意図的だったかは分かりませんが、
信用保証協会付きだからという理由で、取引先の状況もよく把握せず安易に融資を勧めた
というのは事実です。
会社にとっては、信用保証協会付きであろうがなかろうが、借入金を返済するという資金繰りを組む必要があります。
一方で、銀行側からすれば信用保証協会付きの場合、たとえ計画通りに資金繰りが回らなくても最終的にはお金が返ってくるという安心感があります。
実はこの温度差が不良債権を生む原因なのです。
次回はこの点をもう少し掘り下げたいと思います。
ところで、これから3月にかけては銀行も期末を向かえます。
担当者は今期の目標を達成するのに必死になる時期。
「銀行からこんな提案があったのだけど、どうなの・・・?」
とちょっと疑問に思われることがあったら、弊社宛にお気軽にご相談下さい。
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