大口の受注に成功した時こそ資金繰りの手綱を締める
大口の受注に成功した時こそ資金繰りの手綱を締める
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
「本日A社からの受注が決まりました!」
大口の案件が決まるかどうか、気になっていたクライアントさん。
正式に受注が決まったとの報告があり、資金繰りも大幅に改善できそうな見込みです。
私も前職で経験しましたが、追いかけていた大口案件がようやく決まると、ほっと一息して、社内は活気づきます。
しかし、本当にたいへんなのは、これからです。
売上金額は大きいということは、その分、売上原価の費用も大きくなります。
また、見積りを出す際に見込んでいた原材料費や外注費は、正式に生産が始まると、当初予算の範囲に収まるとは限りません。
受注した後も細かい仕様変更があったり、生産に思いの外時間がかかったりすることで、思っていた以上に出費がかさむことがあります。
大幅に仕様が変わった場合は、追加の費用を請求することができるかもしれませんが、相手が大手企業の場合、いったん決まった発注金額を変えるのは容易ではありません。
また、仮に支出の金額が変わらなかったとしても、売掛金が入ってくるタイミングで、資金繰りに影響が出てきます。
現実には全額前払いでもらえるケースは少なく、着手金、中間金、納品後の最終決済分などに分かれます。
このため、粗利が少ない案件では、受注したことで、一時的にかえって資金繰りが厳しくなることもあります。
最終的に1,000万円の利益が出る案件であっても、体感的には100万円ほど資金繰りが楽になったぐらいです。
前職の際には
- 発注先からの強い要請もあり、計画段階から採算的にはぎりぎりの案件だった
ことに加えて、商品の生産に思いの外時間がかかり、納期に追われる日々が続き、最終代金をもらう頃には、資金繰り的にカツカツだった時に、意図的に
- 売掛金の支払を事実上ストップされる
手段に出られたことで、一気に会社の資金繰りが悪化しました。
それゆえ、よほど利益率が高く、かつ、売上が前倒しで入ってくる案件でない限り、当初想定していたほど資金繰りは楽にならないと考えていた方がベターです。
「勝って兜の緒を締めよ」ではありませんが、
(大口案件を)受注して資金繰りの手綱を締めよ
次回のクライアントさんとの打合せの際、私の苦い経験も踏まえて、再度念押ししたいと思います。
★キャッシュフロー経営の実践チェックリストの詳細は「こちら」です。
★下記のフォームにお名前とメールアドレスをご登録いただければ、最新発行分より「超キャッシュフロー経営通信」【UCF】をお送りさせていただきます。ぜひご登録下さい。