在庫管理をシステム化して、資金繰りを改善する|キャッシュフロー経営実践講座

在庫管理をシステム化して、資金繰りを改善する|キャッシュフロー経営実践講座

在庫管理をシステム化して、資金繰りを改善する

在庫管理をシステム化して、資金繰りを改善する

誰がやっても同じ基準に基づいて在庫管理できるかどうか。在庫を上手くコントロールできれば、資金繰りも改善し、業務プロセスの改善にもつながります。

ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。

在庫管理をシステム化して、資金繰りを改善する

お金を持ちすぎると評価が下がる?

銀行の支店の成績を評価する際の項目の一つに、できるだけ支店の現金を減らすというのがあります。


銀行の場合、預金者から預かったお金を会社に融資したり、国債等に投資して初めて利益が出ます。

このため、集めたお金をいかに効率的に運用に回せるかが収益の鍵を握ります。


一方で、銀行の支店に置いてあるお金。

毎日、預金者がお金を下ろすために一定の金額を金庫やATMに入れておく必要がありますが、銀行にとってみると、収益を生まない資産です。

そこで、支店の評価項目の一つに、手元の現金をどのくらい圧縮できたかが入っているのです。


長期休暇前の週末や25日の給料日には多くの人がお金を下ろしにきます。

そんな時支店では現金をいつもよりも多めに用意しています。

そして、手元のお金が不足しそうだと本部に連絡して追加の現金を輸送してもらうことがあります。

逆にお金があまりそうだと一定の金額を残して本部へ返すことも。

新入社員の時、支店の現金が足りなくなりそうなので、預金課長と一緒に近くの支店に現金をもらいに行ったことがありました。


預金者がどれだけお金を下ろしにくるか、どのくらい現金での入金があるかという予想はなかなか立てづらいため、現金の資金繰りをギリギリで回すのはなかなかたいへんです。

このあたりのさじ加減、預金課長の腕の見せどころです。


いわば、銀行にとって現金は在庫のようなもの。

できるだけ在庫を少なくするよう求められている訳です。

在庫管理に着目する

ところで、商品を作ったり、販売したりする会社でも、資金繰りの観点からは

できるだけ在庫を少なくして効率的にお金を回す

ことが必要です。

けれども、実際には、在庫が増えていても責任の所在があいまいというケースが多い気がします。


在庫が増えている原因としては

  • 商品が売れない
  • 発注のタイミングを間違えた
  • 製造に時間がかかった
  • 在庫管理がきちんとできていない

など、様々あります。

そして、在庫の問題は、営業、購買、製造、経理といった会社の各部署が複雑にからみあっています。


このため、決算が近くなって、初めて「えっ、こんなに在庫が余っていたの!」と慌てることも少なくありません。

会社の目標項目の一つに在庫管理を入れて具体的な目標と責任の所在を明確にする

ことは必要な施策の一つです。

在庫が増える要因

先月から今月にかけてクライアントさんに訪問している時、2つの会社でプリンターのトナーが切れるという場面にたまたま遭遇しました。


A社の場合、プリンターからトナーを引き出すと、自動的にそのトナーを発注する仕組みになっているため、常に予備のトナーが一つあるという状態。

一方のB社の場合、トナーがなくなってプリンターが使えなくなり、慌ててお店に買いに行くという状況でした。


A社とB社では会社の規模もプリンターを使う頻度も違います。

このため、単純な比較はできませんが、ポイントは

在庫を見直す仕組みやルールができているかどうか

という点です。


A社の場合は、回線を通して自動発注する仕組みができているため、プリンターに「もうすぐトナーがなくなります」という表示が出ていても、在庫があるため、あまり気にする必要がありません。

しかし、B社の場合は「もうすぐトナーがなくなります」という表示が出た時に、見落としていたりすると「これから資料を大量に印刷するのにプリンターが・・・」という事態に陥りかねません。


たとえ、仕組みが自動化されていなくても、表示が出たら、その日の内に発注するというルールを決めたり、毎月月末には残量をチェックするという習慣を作っていれば、B社の場合でもトナー切れによる業務中断は避けられたはずです。


B社の場合、在庫ゼロを基本にしていたのに、発注のタイミングを逸してしまったため、在庫切れを起こしてしまった訳ですが、在庫が増える要因の一つは、

在庫を見直すルールが決まっていない

ことです。


多くの場合、「お客さんから注文があった時に在庫がないとすぐに納品ができないので困る」とか「今後半年でこれぐらいは使いそうだ」とか言った理由で、ついつい必要な量よりも多くの在庫を持つ傾向があります。

中小企業の場合、システム化することにも限界があるため、在庫をチェックするにしても人が関わることが多いのが現状です。

このことは、チェックする人によってバラツキが出ることを意味します。

誰がやっても同じ基準に基づいて在庫を管理できるかどうか。

あなたの会社の場合はいかがでしょうか。

在庫と時間

在庫と時間について、まず頭に浮かぶのは、売れるまでの時間です。

せっかく作った商品がなかなか売れずに在庫が溜まるというのはよくある話です。


しかし、もう一つ

商品が納入されるまでの時間

も在庫が増える要因です。


「発注してから作るのに2ヵ月かかる」とか、「注文してもすぐに手に入らないことがある」といった状況だと、会社としては、予定よりも早めに、かつ、多めに発注する傾向があります。

その結果、まだ売り先が確定していないのに発注することもあり、在庫として滞留する時間が長くなるのです。

また、当然のことですが、発注すれば、お金の支払が発生するため、早め&多めの発注は資金繰り悪化の要因になります。


このため、

商品の納入時間を短縮することが資金繰りを改善する結果にもつながる

と言えます。


相手先があるため、すぐに納入時間を短くすることは簡単ではありません。

しかし、

  • 代替先を常に探す
  • 先方の稼動状況を確認する
  • 入手困難な部品だけは早めに確保する

といったちょっとした工夫は日頃からも実行可能です。


昔は「作るのに2ヵ月かかる」と言っていた先も、今では製造ラインに余裕があるため、「1ヵ月で製造できる」となっていることもあります。

納入時間は定期的に見直すことが必要です。

在庫管理から業務改善へ

在庫を上手くコントロールできれば、資金繰りも改善し、業務プロセスの改善にもつながります。

在庫を持っておられる会社では、在庫に着目することで、新たに取り組むべき課題がハッキリしてきます。

面倒くさがらずに、ぜひ前向きに取り組みましょう。

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Tag: 在庫 在庫管理 システム化 資金繰り改善 業務改善

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